有償ワークショップのダイジェスト版を無料で体験できる太っ腹なセミナーが開催されるということで、1月24日にグラーツ社主催のアジャイルマインド・インストレーション体験セミナーに参加してきた。(募集サイト)
このセミナーは13:30-16:30の半日のセミナーで、前半講演、後半ワークショップという構成だった。
参加者は15名くらいで、3〜4人のグループを4つ作ってワークショップに臨んだ。
参加者の属性は、SM経験者が半分くらい、PO, Dev経験者が数名、スクラム未経験者が2名くらい。
講演とワークショップの内容は以下の通り。
講演「アジャイルコーチと辿る価値と原則」(30分)
- アジャイルソフトウェア開発宣言の4つの価値と12の原則、スクラムガイドの理論・価値基準・チームの紹介と、スクラムにおけるマネージャの役割の説明がメイン。
- スクラムにおける"確約"を『スポーツ選手が「必ず勝ちます!」と試合前に宣言するようなイメージ』と説明していて、すごくいい説明だと思った。パクろう。
- マネージャの説明はエッセンシャルスクラムとLeSSからの引用が多かった。マネージャとチーム間の権限委譲については、エッセンシャルスクラムに掲載の以下の表を参照しながら話すとスムーズとのこと。
- 組織にアジャイルを広める際には書籍「Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン」がとても参考になるとのことだった。読もう。
- あと、昨年 技術書展で頒布された「アジャイルコーチからのアドバイス」についての言及もあった。読もう。500円だし。
ワークショップ「スクラム・ペルソナ・ロールプレイ」(120分)
受講者がセミナ申し込み時のアンケートに記載した「アジャイル・スクラムの困りごと」から各グループ1つテーマをピックアップし、そのテーマについてPO/SM/Devの視点で「問題への向き合い方」「対処」「予防」をディスカッションするというワークショップ。
「ペルソナ」とある通り、架空のスクラムチームのペルソナを用意して、そのチームが受講者の挙げた「アジャイル・スクラムの困りごと」に遭遇した場合にどう対処すべきかをディスカッションする。
ワークショップに当たって決まっていることはスクラムチームのペルソナのみで、スクラムチームが作るプロダクトのカテゴリやスクラムチームのロケーションといった細かい点については言及がなく、グループで仮定を置いてよいということで、以下の2点から丁度よく抽象化されているという印象を持った。
各グループの取り組む「困りごと」が、他のグループと被らないように決めたら、まず自分たちが取り上げた「困りごと」について30分ディスカッションし、PO/SM/Devの視点で「問題への向き合い方」「対処」「予防」をポストイットに書き出して、模造紙に貼る。模造紙は以下のような構造になる。
PO SM Dev どう向き合うか どう対処するか どう予防するか 次に隣のグループに移って、隣のチームが取り上げた「困りごと」について、20分ディスカッションする。(2回目以降は、前のグループが貼ったポストイットが残っているので、まずはそれを参照して、共感したらシールを貼った。)これを4チーム分繰り返した。
今回選出された4つのディスカッションテーマと最終的な模像時の状態は以下の通り。
- なお「どう向き合うか」には、基本的にアジャイルの価値や原則、スクラムの理論や価値基準から選んだワードを記載する。(その他でもOK。)以下はワード選びのために配布いただいた資料。
感想
- スクラムのセミナーというと、ともすれば自己組織化の話やフレームワーク(ロール・イベント・成果物)の話が中心で、アジャイルの価値や原則、スクラムの理論や価値基準の説明はさらっと流してしまうこともあると思うが、このセミナーはアジャイルの価値や原則、スクラムの理論や価値基準について、受講生にしっかり考えさせるプログラムになっていて、とても勉強になった。
- また普段はスクラムチームにおける自身のロールを前提として価値や原則を考えがちだが、このロールプレイは一回そこをクリアして、PO/SM/Devそれぞれの視点から、価値や原則に基づき、具体的なアクションを追求できるという点も勉強になった。
- ぜひ組織に持って帰ってほしいということだったので、折を見て自社でもロールプレイをやってみたいと思う。(KPTの結果、なかなかTryに取り上げられない重めのProblemがあった場合には、このロールプレイのテーマに取り上げると、アジャイルやスクラムの価値や原則と照らし合わせて、フラットなディスカッションができて良さそう、という印象を持った。)